<翻訳>GVLとGVHDを分離させる新しい戦略

E. H. Warren & H. J. Deeg
Dissecting graft-versus-leukemia from graft-versus-host-disease using novel strategies
Tissue Antigens, 2013, 81, 183–193
(訳:宮崎有紀、池田奈未、小島裕人)

Abstract

同種異系造血幹細胞移植(HCT)の本質的な抗白血病効果は、ドナーとレシピエントの遺伝的相違に依存し、移植片対宿主病(GVHD)(Ⅰ)と密接に関与しており、ドナー造血細胞に含まれるか、それに由来するリンパ球によってもたらされる。30年の尽力にもかかわらず、GVHDを引き起こす同種免疫反応と移植片対白血病(GVL)効果をはっきりと分ける臨床戦略はまだ見つかっていない。造血幹細胞移植を必要とし、2座かそれ以上のHLA-A、-B、-C、-DR座が一致するドナー候補がいる患者には、ドナーとレシピエントの主要組織適合遺伝子複合体(MHC)内外の遺伝子型さらには遺伝子座の考慮によって、GVHDを起しにくく、強力なGVL効果をもたらすドナー(候補)の選択が可能かも知れない。従来のドナーリンパ球輸注もまた工夫次第で移植後再発の予防や、再発治療の改善が見込める。しかし、allo-HCTの抗白血病効果を選択的に増強する最も有望な方法は、ホストに対するドナーアロ免疫を利用するよりむしろ予防接種や養子細胞移植で腫瘍特異的免疫を高める事のようである。特に、腫瘍特異的活性を有する遺伝子を導入したドナーT細胞の養子移植は、GVHDを起こさず抗腫瘍免疫だけを増強することでallo-HCTの常識を変える可能性を秘めている。

Introduction

少なくとも3つの独立したエビデンスが、同種異系造血幹細胞移植(HCT)によって誘導される移植片対白血病(GVL)効果の存在を示している。1つ目、allo-HCT後の再発や腫瘍残存の患者で、免疫抑制剤の中止による悪性疾患の完全寛解(CR)が時々報告されている。2つ目、難治性もしくは再発性の悪性腫瘍の患者においてHCT後のドナーリンパ球輸注での完全寛解がしばしば観察されている。3つ目、直接的な抗腫瘍活性はほとんどなしでミニ移植(低強度)を施行してドナー造血幹細胞の生着が得られ、悪性腫瘍の部分的もしくは完全退縮が見られた患者は、おそらくGVL効果を裏付けるもっとも明白で説得力のある証拠であろう。過去20年にわたりGVL効果の解明研究の焦点は主に細胞や分子であった、このような今までの研究成果が、移植片対宿主病(GVHD)の誘発や重症化のない選択的なGVL効果の強化法の開発を容易にしている。

Defining characteristics of the GVL effect in human allogeneic HCT

PLOBABILITY OF LERAPES
Figure 1 Actuarial probability of relapse among 2254 recipients
of allogeneic bone marrow transplants (BMT) from human
leukocyte antigen-identical sibling donors transplanted for
chronic myeloid leukemia in first chronic phase, acute
lymphoblastic leukemia in first remission, or acute myelogenous
leukemia in first remission, according to the type of graft and
the development of acute or chronic graft-versushost disease.
Reproduced with permission from Horowitz et al. (3)

GVLの最初の不可欠な特徴づけは早期、または進行期の白血病でHLA一致同胞間骨髄移植における再発率の解析によってなされた(1,2,3)。この研究ではGVHDなし、急性GVHDのみ、慢性GVHDのみ、両方ありの区分により再発率の比較が解析され、その結果からGVHDとGVL効果が強く関連していることがわかった(Figure 1)。さらに、慢性骨髄性白血病(CML)における移植症例の解析から、GVL効果の強さがGVHDの発症や重症度と一致していることがわかった(4)。急性、慢性GVHDを起こさなかったHLA一致同種ドナーからの移植と同系(一卵性双生児)からの移植における再発率の比較から、移植自体における抗腫瘍効果と臨床的にみられるGVHDとは独立していることがわかった。最後に、MHC一致ドナーの移植においてドナーT細胞除去を施行している症例と、していない症例の再発率の比較から、T細胞除去が抗腫瘍効果を減少させることが証明された。

Genetic determinants, effector cells, and target molecules of the GVL effect

GVL効果は患者とドナーの遺伝子的な相違が必要であり、まずはドナー移植片に含まれる、もしくは単離したリンパ球に依存する。GVL効果の本質的な(包括的、理論的)理解は知られていないが、20年以上にわたって多くの研究施設から重要な遺伝的因子、エフェクター細胞、GVL効果の標的分子が同定されている。GVL効果は、単純で同一の現象がみられるわけではなく、多くの場合は患者とドナーの遺伝的相違の数や種類、移植片のソース、構成、ドナー造血細胞の処理方法、患者の腫瘍タイプに依存する。同種造血幹細胞移植の適応範囲が―1980年から1990年代にかけては唯一移植適応であった―AML、ALL、CMLから拡大し、MDS、骨髄増殖性障害、CLL、Hodgkinリンパ腫、non-Hodgkinリンパ腫、多発性骨髄腫などの血液系腫瘍性疾患への適用も増えた、それと共にGVL効果とGVHDの発症率と重症度がすべての腫瘍で同一ではない事が明らかになった。確かに、1998年から2007年までのEBMTの48,111例の移植データにおいて、―再発率から推測すると―GVL効果はCMLとALLではGVHDと最も強く関連しており、MDSとリンパ腫はそれほどでもなく、AMLと形質細胞異常は関連があまりなかった(5)。この結果から、allo-HCT後のGVLのメカニズムはGVHDのそれとは完全に同じではないことがいえる。

ドナー由来のTリンパ球とナチュラルキラー(NK)細胞が移植後GVLを誘発する主要因子であるのは明らかである。T細胞除去をしないMHC一致ドナーの移植において、ドナーCD4+CD8+T細胞は患者細胞表面のMHC-ペプチド複合体を認識することによりGVL効果を誘発する。しかし、蓄積された証拠から、T細胞除去をしないMHC一致ドナーの移植においてはドナーNK細胞もGVLに重要な役割を果たしている。対照的に、ハプロ半合致移植、複数ローカスミスマッチ移植、致死的なGVHDを予防するためにドナーT細胞除去をin vivo もしくはin vitroでおこなった移植ではドナーNK細胞は患者細胞に対する他のリガンドと同様に、MHC-ペプチド複合体を認識することによって、GVHDを誘発する主要因子となる。

GVL in multiple HLA antigen-mismatched and HLA-haploidentical HCT

ペルージャのグループによる開拓的研究によると、ハプロ半合致、複数ローカスミスマッチ移植においてT細胞除去における白血病細胞の根絶は、大部分がドナーNK細胞によるものであるとしている(6)。ハプロ半合致移植後の患者から単離されたドナーNK細胞の機能的解析によって、ドナーNK細胞は、患者の造血細胞以外の細胞認識はあったとしても少ないが、リンパ球、樹状細胞、骨髄白血芽球(リンパ球ではない)に対しては潜在的に細胞傷害性を持つことが明らかになった。患者とドナーのMHCとKIR(第19番染色体長腕)の遺伝子相異の解析によって、移植後の白血病細胞根絶とin vitroでのNK細胞傷害活性の両方は、ドナーにはない患者MHCクラスⅠアリルが重要となるドナーNKアロ反応の‘ミッシングセルフ’モデルによって説明できる事が示された。ペルージャグループは最初の臨床的データから、‘ミッシングセルフ’モデルから予想されるNKのアロ反応性―臨床的なGVL効果―はGVHDの発症とは親密には一致しなかったと結論づけているが、十分なフォローアップ証拠は得られなかった(7)。ハプロ半合致移植におけるドナーNKのアロ反応がGVL効果に重要であることは多くの研究によって広く確かめられており、ドナーNK活性をより正確に予想するための他のモデルが多く提案されている。‘ミッシングリガンド’モデルとして一般的に参考にされる最も有名な二者択一モデルは、患者とドナーのMHCクラスⅠ遺伝子型の差異とドナーのもつKIR遺伝子とそのハプロタイプの組み合わせを重要視する。いくつかのモデルが提唱されているが、ハプロ半合致移植においてドナーNK活性をもっとも正確に予想できるモデルは定まっていない。

ハプロ半合致移植後のAML、MDSの再発例から単離された芽球の解析から、患者の非共有ハプロタイプの産物に対する特異性をもったドナーリンパ球がGVL効果に大きな役割を果たしていることがわかった。ハプロ半合致移植後にドナーT細胞輸注を施行し、再発した17名の患者を解析した結果は驚くべきものであり、17名中5名の患者由来の芽球はドナーと非共有のMHCハプロタイプ全体を欠落していた(8)。MHCハプロタイプの欠損は有糸分裂の際におこる組み換えが原因で、第6番染色体短腕が同一の親由来の2倍体になることが考えられる(6pUPD= 6p uni-parental digosity) 。その後の研究でも同様の結果が得られ、6pUPDは血縁者間HLAハプロ半合致移植後にAMLの再発をきたした子供の3分の2にみられた(9)。

GVL in T-replete MHC-identical or –closely matched HCT

MHC一致同胞血縁(3)、またはMHC一致非血縁間(10)移植において移植片のT細胞除去を行った場合に再発率が上がることから、ドナーT細胞がHLA一致ドナーからの移植において重要な役割をしていることが証明された。これは、ドナーのCD8+(11,12,13)T細胞とCD4+(14,15)T細胞の両方がGVL効果に関与していることの十分な証拠でもある。しかし、これらはドナーとレシピエントのMHCとKIR遺伝子型からの推論でしかなく直接的な証明ではないため、骨髄腫瘍患者の血縁もしくは非血縁間MHC一致移植後においてはドナーNK細胞のアロ反応性がGVL反応に関与していると考えることもできる。最近のコンセンサスはドナーT細胞の方が、ドナーNK細胞よりもGVLに対してより重要で活性が強とされるが、ドナーのT細胞とNK細胞のGVL活性は患者とドナーの免疫関連遺伝子の相違、移植ソース、処理方法、その他の移植片の特徴、患者の治療レジメン、GVHD予防法、腫瘍の性質によるところが大きいように思える。

Miner histocompatibility antigens as targets for GVL responses

MHC一致移植において、最初、もしくは優先的かもしれないが、CD4+T細胞とCD8+T細胞の標的はマイナー組織適合性抗原(Ⅱ)で、この抗原は患者のMHCクラスⅠ、クラスⅡを含むMHC領域とは別の領域に存在し、遺伝子には広大な配列と構造によって多型性がある。マイナー抗原はMHC一致移植後の患者においてCD4+細胞かCD8+T細胞のどちらかに認識され、その遺伝子はヒトゲノム上に広範に分布し、2012年後半までに少なくとも49の遺伝子か判明している(Figure 2)。これらの遺伝子の大部分は常染色体に存在し、ほとんどすべての染色体を網羅しているが、少なくとも6種類の遺伝子はY染色体上に存在し、ドナーが女性、患者が男性のときにドナーT細胞応答を引き出す因子となる男性特有のマイナー抗原となる。常染色体(12,13)やY染色体(16)上にコードされるマイナー抗原に対するT細胞応答がGVL効果を発揮することには確証がある。腫瘍細胞を含む造血細胞に選択的、もしくは排他的に発現しているHA-1(17)のようなマイナー抗原に対するT細胞応答はGVL効果を選択的に誘導し、造血細胞のみならず、それ以外にも発現がみられるHA-8(18)のようなマイナー抗原に対するT細胞応答はGVL効果とGVHDの両方に関与すると仮定されている。この仮定を実験的に正確に証明したとしても、造血細胞特異的発現をしているマイナー抗原は多く存在するため、臨床応用をするには困難が生じるかもしれない。

PLOBABILITY OF LERAPES

Figure 2 Map of genetic loci that can influence histocompatibility in the allogeneic hematopoietic cell transplantation (HCT) setting. The chromosomal location of the major histocompatibility complex (MHC), and of two other multigene clusters, the natural killer complex (NKC) and the KIR locus, are indicated by red labels and arrowheads to the left of the corresponding chromosomes. The chromosomal locations of genes that have been shown to encode T lymphocyte-defined minor histocompatibility antigens are indicated by labels and arrowheads to the right of the corresponding chromosomes; genes that encode class I MHC-restricted minor H antigens recognized by CD8+ T cells are indicated by black labels, those that encode class II MHC-restricted minor H antigens recognized by CD4+ T cells are indicated by green labels, and those that encode both class I- and class II MHC-restricted minor H antigens are indicated by blue labels.

すでに多くのマイナー抗原が同定されているが、もっと多くのマイナー抗原がヒトゲノム上に広範に分布していると考えられる(19,20)。実際、同定されているマイナー抗原のほとんどが非同義一塩基置換(nsSNPs)(Ⅶ)であり、1,000人ゲノムプロジェクト(19)のパイロットフェイズによると2人の非血縁間では10,000-11,000のnsSNPsの相違があると思われる。そこにはドナーがhomozygoteで患者がheterozygoteのような相違も含めた、UGT2B17のような構造上の相違も数多く存在する(21)。それゆえにallo-HCTにおいてT細胞応答を誘導するマイナー抗原の総数は多く、結果的に生物学的関係を考慮にいれない、いかなる移植においても患者とドナーには多くのマイナー抗原ミスマッチがあるだろう。

Nonpolymorphic GVL targerts

患者に対するドナーT細胞は患者マイナー抗原に加え、MHC一致移植において患者の骨髄、もしくはリンパ白血病細胞に発現される、過剰または異常の多型性のない抗原に対しても応答し、GVL活性に働いていると思われる。HLA-A*02:01拘束性CD8+T細胞はプロティナーゼ-3と好中球エラスターゼ遺伝子によって発現されるPR1ペプチドに特異的に働き、MHC一致移植後に寛解に至ったHLA-A*02:01を持つCML患者の多くの血中で増加傾向がみられた(22)。ミエロブラスチンとして知られるプロティナーゼ-3とエラスターゼはどちらともAMLとCML芽球と同様に、アズール顆粒と前骨髄球にも発現しており主要成分である。WT-1腫瘍タンパク由来ペプチド(23)に対するCD8+T細胞応答、NY-ESO-1(Ⅲ) (24)やMAGEファミリー (25)のようなCT抗原(精巣抗原)に対するCD4+とCD8+T細胞応答なども急性白血病と多発性骨髄腫におけるMHC一致allo-HCT後に検出された。腫瘍特異的抗原に対するドナーT細胞応答は造血幹細胞移植後に固形腫瘍をきたした患者でも増加している。MHC一致ミニ移植施行後に持続的な完全寛解に至った転移性腎細胞癌患者から、ヒト内在性レトロウイルス(HERV)E型由来の抗原性ペプチドに対する優れた腫瘍特異的CD8+T細胞応答がみられた(26)。

Contributions to GVL from NK and B cell

MHC一致allo-HCT後のGVLにおいてはドナーNKが働いていることの直接的な証明はないが、いくつかの後方視的研究においては骨髄腫における再発率がドナーと患者のHLA遺伝子型とKIR遺伝子ハプロタイプと遺伝子含有量に深く関連しており、それは血縁者間(27,28,29)と非血縁者間(30,31,32,33,34)の両方で論証されている。KIR遺伝子がコードするのは、NK細胞とαβもしくはγδT細胞サブセットに特異的に発現している膜貫通型レセプターである。このレセプターはMHCクラスⅠアリルのサブセットに特異的に結合するが、当然MHCに提示されるペプチドにも影響を受け(35,36,37,38)、T細胞とNK細胞による標的細胞の特異的認識に関与している。KIR遺伝子は多型性を有し、その一方で高い相同性をもっており、その産物は細胞質側末端の長さ―short or long―によってクラス分けされ、それぞれNKの細胞傷害機能、エフェクター機能に対して活性もしくは抑制的に働くと考えられている。第19番染色体長腕に位置するKIR遺伝子には多型性があり、活性型遺伝子の有無を基準としてハプロタイプAとハプロタイプBに基本的に分けられる(Figure 3)。最も大規模で、影響力のあるMHCの研究において、ドナーがKIRハプロタイプBをひとつでも有すること―特にNK活性型レセプターであるKIR2DS1を有すること―がAMLと他の骨髄腫瘍に対する非血縁造血幹細胞移植における再発率の低下と強く関係していることがわかった(32,33,34)。移植後早期にドナーNKの割合が高いこともミニ移植における再発率の低下に関与している(39)。まとめると、これらの結果からわかることはドナーNKのアロ反応は骨髄腫に対する非血縁間、血縁間HLA一致ドナーからの移植におけるGVL活性に重要な役割を果たしていることである。

PLOBABILITY OF LERAPES

Figure 3 Basic organization and gene content of the human KIR locus on chromosome 19q. Two hypothetical haplotypes are illustrated: an A (top) and a B (bottom) haplotype. Framework genes (which can be coding genes or pseudogenes) are illustrated in blue; nonframework activating genes are in green, inhibitory genes in red, and pseudogenes in purple. Adapted from http://www.ebi.ac.uk/ipd/kir/sequenced_haplotypes.html.

ドナーB細胞もまた、特定の造血幹細胞移植患者においてはGVLに関与するかもしれない。HLA一致移植後に再発し、最終的にはDLIによって寛解に至ったCML(40)、多発性骨髄腫(41)の患者において腫瘍特異的抗体反応がみられた。DLI後に検出される抗体に認識されるタンパクは細胞内に存在し、細胞表面に発現していなかったが、多発性骨髄腫に対してDLIを施行して反応があった患者には、細胞外ドメインを有する細胞膜貫通型タンパクであるBCMA(B-cell maturation antigen)に対する抗体がみられた(41)。BCMAに対する抗体を含む血清は、補体を介する細胞溶解と、BCMAを発現している骨髄腫細胞を想定して人工的に作製されたBCMA遺伝子を形質導入した腫瘍細胞に抗体依存的細胞毒性を誘導することができた。この結果からBCMAはDLIによって誘導される抗骨髄腫作用の標的となっているかもしれない。ドナーCD4+T細胞とCD8+T細胞に認識され、多発性骨髄腫患者の造血幹細胞移植後にみられるNY-ESO-1のような腫瘍特異的抗原に対する抗体も検出されるが(24)、この抗体が移植後の抗骨髄腫作用を有するのか、単純に腫瘍特異的抗原に対するマーカーとして存在しているだけなのかは知られていない。

Strategies for enhancing GVL and preventing GVHD

GVHDの重症化を起こさずにallo-HCTによる抗腫瘍効果を選択的にコントロールするための臨床的な戦略の発展は、造血幹細胞移植研究において優先度が最も高いもののひとつである。最近の焦点は、本質的なGVL活性の増強か、GVL効果を減じることなくGVHDを回避できるようなドナー決定を戦略的に行うことである。GVHDの発症と重症度が移植前処置レジメンの強さと相関しているという認識に基づいて、最適で毒性のないレジメンを設計することは、再発予防や再発治療のためにより効果的で毒性の少ない移植後DLIを行うための戦略を設計することにもつながるため活発な研究分野の一つである。記述する程でもないかもしれないが、最近の移植研究における最も注目されている分野はアロ免疫に依存しないワクチンや養子免疫による腫瘍特異的免疫療法である。

Improved donor selection for enhanced GVL and less GVHD

第6染色体単腕は3.3Mb以上の遺伝子に数百ものタンパク質がコードされており、造血幹細胞移植においてHLA一致ドナーを選択する際には、患者のMHC領域の特定の座位を一致させることに焦点があたっている。NMDPでは最近、患者とドナー候補のHLA-DRB1遺伝子のexon2と同じように、HLA-A、-B、-C遺伝子のexon2、exon3のマッチングを推奨している(42)。しかしながら大規模な後方視的研究によると、MHC領域の他のローカス―特にDPのヘテロダイマーを構成するα鎖とβ鎖をコードする遺伝子(43,44,45)―をドナーとレシピエントでマッチさせることで、重症GVHDの発症率が低下し移植成績を向上させたのかもしれないと述べている。しかし、非血縁間のallo-HCT予定で移植後の再発の危険性が高い患者においてはDPの意図的なミスマッチが有用であることが証明されており、このような戦略は移植後の再発リスクを低下させるため有益と証明されている(44,46,47)。また、最近のランダム試験の結果では(48)、HLA-A、-B、-C、-DRB1遺伝子一致非血縁ドナーからの移植においては造血幹細胞のタイプ(PB or BM)もまたGVHDリスクに影響を与え、その重要性や臨床的有益性は白血病早期か晩期患者かによっても異なると報告している。

MHC領域外の遺伝子型の考慮は、特に骨髄性白血病の患者においてGVL効果を選択的に引き出すことができるかもしれない。骨髄性白血病の患者においては、少なくともひとつのKIRハプロタイプB (32,33)―もしくはハプロタイプを特徴づけるKIR2DS1のようなKIR遺伝子(34)―を持ったドナーからの移植が再発率を低下させることから、HLA-A、-B、-C、-DRB1遺伝子のうち2座もしくはそれ以上の一致ドナー候補に対してKIRタイピングは最適条件のドナーを選択するのに有用であるかもしれない。骨髄性白血病において移植成績の向上と再発率の低下に関与しているドナーのKIRハプロタイプBの構成を理解することは優先度の高い課題である。

Lowering risk of GVHD through optimization of transplant conditioning

PLOBABILITY OF LERAPES
Figure 4 Reciprocal relationship between the intensity of
conditioning regimens that have been used for allogeneic
hematopoietic cell transplantation and the required
anti-leukemic contribution from the graft-versus-leukemia
effect to achieve a comparable rate of posttransplant relapse.
The relative degree of tissue injury typically observed
with each regimen is also indicated. TBI and tbi,
total body irradiation; BU, busulfan; CY, cyclophosphamide;
FLU, fludarabine; AraC, cytarabine; ATG, anti-thymocyte globulin.

患者に対する移植前処置のレジメンは移植片の入る環境を変化させるため、患者とドナー細胞との相互作用が起きると考えられる。ランダム試験を含む多くの研究では、GVHD特に急性の場合の発症率と重症度が、照射量の高いTBIなどの強い前処置によって高まると示した(49,50)。これは、ドナー細胞由来のシグナルが加わって起こる組織傷害と炎症性サイトカイン前駆体の遊離が関与しており、「サイトカインストーム」と呼ばれる状態を引き起こす。GVHDの兆候は古典的な免疫反応に加え、炎症にも関与している。移植前処置のレジメン(Figure 4)については患者の疾患、移植片幹細胞の種類、全身状態などを加味して多くの組み合わせが使用されている。低強度(ミニ移植)のレジメンが急性GVHDの重症度と、もしかすると発症率の低下にも関与しているという証拠はある(51)。;が、GVHDが高強度レジメンよりも遅くに起こっている可能性があり、慢性GVHDとの区別は難しいかもしれない(51)。

最近の興味深い報告で、スタチン含有薬(脂質異常症:高脂血症に用いられる)が患者(移植前)か、ドナー(幹細胞採取前)、もしくは両方で投与されていた場合にGVHDの発症が抑えられるという内容があった(52,53)。特に処置前のドナー群では明らかに重症急性GVHDの頻度が下がった。特筆すべきはこの現象がGVHD予防としてタクロリムスを用いている患者には起きず、シクロスポリンを用いている患者にのみ起きているところである。現在、これらの後方視的研究で得られたデータを前方視的研究で確認をしているところである。移植前レジメンにおけるanti-thymocyte globulin (ATG)の使用は、慢性GVHDの頻度を減らすと報告されているが(54)、ミニ移植においては最近のデータでまだ議論中である(55)。

移植前のレジメンの変更だけではGVHDを予防するのは難しいと思われる。しかし、前処置に関連する毒性を減らすことで、GVHDの悪化や誘発の原因となる要素をなくす、もしくは減らすことができるかもしれない。

Engineering DLI for improved anti-leukemic activity and less toxicity

DLIは限られた抗白血病効果しかなく頻繁に毒性がみられるが、移植後の再発予防もしくは治療に一般的な方法とされている。免疫機構のチェックポイントの阻害剤を含むアジュバント療法はDLIの抗白血病効果を増強する有力な戦略のひとつである。パイロットスタディでは、移植後再発患者における抗白血病効果を評価するためにイピリムマブ(Ⅳ)(CTLA4(Ⅴ)に対するモノクローナル抗体)の単回投与を行い、その免疫機構チェックポイント阻害の研究がなされた(56)。29名の患者についてはイピリムマブによるGVHDの悪化は認められなかったが、4名については臓器特異的に免疫反応による有害事象がみられ、3名は目的の効果が得られた(うち、2名は完全奏功、1名は部分奏功)。イピリムマブの治療で末梢血のCD4+CD25+FOXP3+の細胞数の顕著な変化は見られなかった(57)。最近、PD-1/PD-L1経路のシグナルをモノクローナル遮断抗体(blocking monoclonal antibodies)で阻害することで、進行性固形がんの持続的縮小がみられたという報告があり(58,59) 、このような医薬品でPD-1/PD-L1シグナル伝達を阻害する事は、DLI効果も同時に強める可能性があると考えられる。DLI前に患者リンパ球を除去するしないにかかわらずDLI中のCD4+CD25+細胞を除去するパイロットスタディもあり(60)、無処理(CD4+CD25+細胞を除去していない)DLIで反応が見られなかった患者に、GVHDを伴う持続的なGVL効果がみられた。

Tumor-specific immunotherapy with vaccination or adoptive cell transfer

「本質的な」GVH反応の抗白血病作用は30年にわたって分析されてきたが、臨床的なGVHDとGVLをはっきりと分ける事ができるものの解明には至っていない。従って、最近の研究ではアロ免疫に手を加えるよりはむしろ腫瘍関連もしくは腫瘍特異的抗原に対する免疫性を高める治療法に頼る傾向がある。実際、allo-HCT後の免疫療法のターゲットとして研究されてきた抗原が、自己由来細胞のワクチン療法や養子免疫療法のターゲットとしてすでに広く再評価されている。

この頃、allo-HCT後にワクチンを利用して抗腫瘍免疫を活性化する様々な方法が研究されている。 HCT患者に免疫活性をつける上で難しい点は、ドナーが患者に感作される必要がある点で、健康なドナーに腫瘍特異的免疫をつける安全な方法は一般的にまだ確立されていない。しかし注目すべき例外として、多発性骨髄腫の患者においてMHC一致同胞ドナーから精製されたイディオタイプ(個特異的抗原)のタンパク質からワクチン化ができたといういくつかの報告がある(61,62,63)。これらの研究では骨髄移植、1症例はリンパ球移植だが、患者におけるイディオタイプ特異的免疫反応同様、ドナーにおける細胞性、液性のイディオタイプ特異的免疫反応が報告され、精製されたイディオタイプタンパクからのワクチン化は重篤な毒性がないことが示唆された。しかし、最近のワクチン研究では患者特異的免疫反応とは反対に、多くの患者が共通して有する腫瘍特異的抗原に対する反応を引き出すことに最も焦点があたっている。合成PR1ペプチド(プロティナーゼ-3もしくは好中球エラスターゼ由来)やWT1の配列を含むペプチド、BCR-ABLペプチドを用いたワクチンは移植しない場合において広く評価されている。これらのペプチドワクチンはCD8+とCD4+T細胞応答を誘導できるが、この反応は特にPR1ワクチンにおいては相対的に活性が弱く、通常は持続力に乏しい。驚くべきことではないが、ワクチン研究における試行でみられる臨床的な免疫応答は、より複雑であるallo-HCTに対しては、同様の結果が得られる十分な保証はできていない。PR1/HLA-A*02:01複合体を認識するマウスモノクローナル抗体の最近の研究によって、この複合体が通常の造血幹細胞や、骨髄芽球、単核球(64)の表面に割りと明確に発現しており、このことはHLA-A*02:01を有する患者でワクチン療法がうまくいかない理由がHLA-A*02:01拘束性のPR1特異的CD8+T細胞応答の親和性の弱さであることを説明しているかもしれない。

患者特異的細胞性ワクチンはallo-HCT後の患者に有効であり、安全で免疫原性があることがわかってきた。例えば、IL2遺伝子やCD40LG(CD40のリガンド)遺伝子(65)を形質導入した皮膚線維芽細胞と放射線照射を実施した患者白血病幼弱細胞の混合ワクチンや、CSF2(GMCSF)遺伝子を形質導入した患者白血病幼弱細胞ワクチンなどがある(66)。これらのワクチンの試行は単発的であり、GVL活性の絶対的な評価をすることはできないが、過去の例と比較するとどちらの試行も患者の移植成績は改善されている。加えて、allo-HCT後の腫瘍特異的免疫反応に対して、有望なアプローチとなり得る。

進行中の鍵となる2分野の研究―allo-HCT後のウイルス治療のための養子細胞治療と、特異性を変える遺伝子を導入したT細胞療法―これらはallo-HCT後の抗ウイルス、抗白血病効果を活性化するための養子移植の戦略を変える新世代の研究である。allo-HCT後のドナー由来T細胞の養子治療は、この20年間で移植後のCMV予防、EBV関連リンパ増殖症(EBV-LPD)のコントロールのために、ドナー由来のCMV特異的T細胞(67)、もしくはEBV特異的T細胞(68)を用いる研究で開拓された。これらの研究ではドナー由来のT細胞が用いられているが、注入しても患者はGVHDの誘発や悪化することがなかった。結果的に臨床研究ではドナー由来のEBV特異的T細胞株を養子移植しても驚くほど安全で、移植後のEBV-LPDに対する治療と予防に長期的な有効性を発揮し、GVHD誘発、悪化をさせないことが確認された。より最近では多種のウイルス―CMV、EBV、アデノウイルス―に対して特異的な細胞治療産物を作製法が成人末梢血(69)、臍帯血(70)のどちらともにおいて研究され、作製産物が安全で抗ウイルス作用があることを複数のグループで確認している。

細胞治療方法として次に挙げられるのはT-cell receptors(TCRs)やchimeric antigen receptors(CARs)(Ⅵ)での遺伝子修飾によってT細胞の抗原特異性を変化させる技術であり、allo-HCT後のGVL効果を選択的に高める2つめの重要な発展である。TCRs(71)やCARs(72,73)はドナーT細胞の遺伝子操作によって得られ、養子移植後にGVHDが起きないことが利点として挙げられるが、これは通常のTCR自体が自己抗原よりもウイルスに対して特異性をもつためであり、原理的には白血病細胞表面に選択的もしくは特異的に発現している分子のみに働くような有効性と抗腫瘍特異的活性をもったエフェクター細胞群を形成する。自己由来のCD19に対するCARsがCD19+ B細胞リンパ腫においてすでに広く試験されており、総合的にかなり見込みのある結果で、いくつかは劇的な結果が得られている(74,75,76,77,78)。ドナー由のCD19特異的なCAR導入T細胞でも一例、allo-HCT後の進行CLL患者に施行され、結果的に劇的な病状の改善が認められている(79)。ポリクローナルなTCRもしくはCAR導入ドナーT細胞の養子移植において、GVHDの危険を最小に抑える方法は、T細胞に内在するTCRα鎖とβ鎖の発現を抑えることを目的としてzinc finger核酸分解酵素を用いる新しいアプローチがあり(80)、遺伝子導入されたT細胞受容体の特異性や機能を悪化させることなくドナー本来のTCRの細胞表面上への発現を完全に抑制する。

Conclusion

最初に後方視的研究によってallo-HCTにおけるGVL効果が提唱されて以来、30年間に渡って多くの遺伝子座、エフェクター細胞、標的分子などの細胞や分子の研究がなされ、驚くべき免疫反応の可能性を感じた―が、未だにGVHDの毒性が問題として残ったままである。ほとんどの患者におけるGVL活性は、T細胞、NK細胞、あるいはB細胞もかもしれないが、患者のアロ抗原を焦点とする幅広い抗原特異性を有する多様性に起因する。ヒトゲノムを特徴づける多くの遺伝子配列と構造の多様性―これは1世代の血縁者間のゲノムを比較すると明らかである―それがゆえに、患者とドナーの間の遺伝子的な相違を選択的に利用してGVHDを悪化させることなくGVLを誘導することについては挑戦し続けることになるだろう。移植後のアロ免疫よりも特異的な抗腫瘍免疫を誘導する方向性のほうが、将来のallo-HCTの成績向上により大きな衝撃を与えるだろう。

References

  1. Weiden PL, Flournoy N, Thomas ED et al. Antileukemic effect of graft-versus-host disease in human recipients of allogeneic-marrow grafts. N Engl J Med 1979: 300: 1068–73.
  2. Weiden PL, Sullivan KM, Flournoy N, Storb R, Thomas ED. Antileukemic effect of chronic graft-versus-host disease: contribution to improved survival after allogeneic marrow transplantation. N Engl J Med 1981: 304: 1529–33.
  3. Horowitz MM, Gale RP, Sondel PM et al.Graft-versus-leukemia reactions after bone marrow transplantation. Blood 1990: 75: 555–62.
  4. Gratwohl A, Brand R, Apperley J et al. Graft-versus-host disease and outcome in HLA-identical sibling transplantations for chronic myeloid leukemia. Blood 2002: 100: 3877–86.
  5. Stern M, de Wreede LC, Brand R et al. Impact of graft-versus-host disease on relapse after allogeneic hematopoietic stem cell transplantation, an EBMT megafile study. ASH Annual Meeting Abstracts 2012: 120: 469.
  6. Ruggeri L, Capanni M, Urbani E et al. Effectiveness of donor natural killer cell alloreactivity in mismatched hematopoietic transplants. Science 2002: 295: 2097–100.
  7. Ruggeri L, Mancusi A, Capanni M et al. Donor natural killer cell allorecognition of missing self in haploidentical hematopoietic transplantation for acute myeloid leukemia: challenging its predictive value. Blood 2007: 110: 433-440
  8. Vago L, Perna SK, Zanussi M et al. Loss of mismatched HLA in leukemia after stem-cell transplantation. N Engl J Med 2009: 361: 478–88.
  9. Villalobos IB, Takahashi Y, Akatsuka Y et al. Relapse of leukemia with loss of mismatched HLA resulting from uniparental disomy after haploidentical hematopoietic stem cell transplantation. Blood 2010: 115: 3158–61.
  10. 10. Wagner JE, Thompson JS, Carter SL, Kernan NA. Effect of graft-versus-host disease prophylaxis on 3-year disease-free survival in recipients of unrelated donor bone marrow (T-cell Depletion Trial): a multi-centre, randomised phase II-III trial. Lancet 2005: 366: 733–41.
  11. Zorn E, Wang KS, Hochberg EP et al. Infusion of CD4+ donor lymphocytes induces the expansion of CD8+ donor T cells with cytolytic activity directed against recipient hematopoietic cells. Clin Cancer Res 2002: 8: 2052–60.
  12. Kircher B, Stevanovic S, Urbanek M et al. Induction of HA-1-specific cytotoxic T-cell clones parallels the therapeutic effect of donor lymphocyte infusion. Br J Haematol 2002: 117: 935–9.
  13.  Marijt WA, Heemskerk MH, Kloosterboer FM et al. Hematopoiesis-restricted minor histocompatibility antigens HA-1- or HA-2-specific T cells can induce complete remissions of relapsed leukemia. Proc Natl Acad Sci U S A 2003: 100: 2742–7.
  14. Giralt S, Hester J, Huh Y et al. CD8-depleted donor lymphocyte infusion as treatment for relapsed chronic myelogenous leukemia after allogeneic bone marrow transplantation. Blood 1995: 86: 4337–43.
  15. Alyea EP, Soiffer RJ, Canning C et al. Toxicity and efficacy of defined doses of CD4(+) donor lymphocytes for treatment of relapse after allogeneic bone marrow transplant. Blood 1998: 91: 3671–80.
  16. Takami A, Sugimori C, Feng X et al. Expansion and activation of minor histocompatibility antigen HY-specific T cells associated with graft-versus-leukemia response. Bone Marrow Transplant 2004: 34: 703–9.
  17. den Haan JM, Meadows LM, Wang W et al. The minor histocompatibility antigen HA-1: a diallelic gene with a single amino acid polymorphism. Science 1998: 279: 1054–7.
  18. Brickner AG, Warren EH, Caldwell JA et al. The immunogenicity of a new human minor histocompatibility antigen results from differential antigen processing. J Exp Med 2001: 193: 195–206.
  19. 1000 Genomes Project Consortium. A map of human genome variation from population-scale sequencing. Nature 2010: 467: 1061–73.
  20. Warren EH, Zhang XC, Li S et al. Effect of MHC and non-MHC donor/recipient genetic disparity on the outcome of allogeneic HCT. Blood 2012: 120: 2796–806.
  21. Murata M, Warren EH, Riddell SR. A human minor histocompatibility antigen resulting from differential expression due to a gene deletion. J Exp Med 2003: 197: 1279–89.
  22. Molldrem JJ, Lee PP, Wang C et al. Evidence that specific T lymphocytes may participate in the elimination of chronic myelogenous leukemia. Nat Med 2000: 6: 1018–23.
  23. Rezvani K, Yong AS, Savani BN et al. Graft-versus-leukemia effects associated with detectable Wilms tumor-1 specific T lymphocytes following allogeneic stem cell transplantation for acute lymphoblastic leukemia (ALL). Blood 2007: 110: 1924–32.
  24. Atanackovic D, Arfsten J, Cao Y et al. Cancer-testis antigens are commonly expressed in multiple myeloma and induce systemic immunity following allogeneic stem cell transplantation. Blood 2007: 109: 1103–12.
  25. McLarnon A, Piper KP, Goodyear OC et al. CD8(+) T-cell immunity against cancer-testis antigens develops following allogeneic stem cell transplantation and reveals a potential mechanism for the graft-versus-leukemia effect. Haematologica 2010: 95: 1572–8.
  26. Takahashi Y, Harashima N, Kajigaya S et al. Regression of human kidney cancer following allogeneic stem cell transplantation is associated with recognition of an HERV-E antigen by T cells. J Clin Invest 2008: 118: 1099–109.
  27. Verheyden S, Schots R, Duquet W, Demanet C. A defined donor activating natural killer cell receptor genotype protects against leukemic relapse after related HLA-identical hematopoietic stem cell transplantation. Leukemia 2005: 19: 1446–51.
  28. Hsu KC, Keever-Taylor CA, Wilton A et al. Improved outcome in HLA-identical sibling hematopoietic stem-cell transplantation for acute myelogenous leukemia predicted by KIR and HLA genotypes. Blood 2005: 105: 4878–84.
  29. Stringaris K, Adams S, Uribe M et al. Donor KIR Genes 2DL5A, 2DS1 and 3DS1 are associated with a reduced rate of leukemia relapse after HLA-identical sibling stem cell transplantation for acute myeloid leukemia but not other hematologic malignancies. Biol Blood Marrow Transplant 2010: 16: 1257–64.
  30. Hsu KC, Gooley T, Malkki M et al. KIR ligands and prediction of relapse after unrelated donor hematopoietic cell transplantation for hematologic malignancy. Biol Blood Marrow Transplant 2006: 12: 828–36.
  31. Miller JS, Cooley S, Parham P et al. Missing KIR ligands are associated with less relapse and increased graft-versus-host disease (GVHD) following unrelated donor allogeneic HCT. Blood 2007: 109: 5058–61.
  32. Cooley S, Trachtenberg E, Bergemann TL et al. Donors with group B KIR haplotypes improve relapse-free survival after unrelated hematopoietic cell transplantation for acute myelogenous leukemia. Blood 2009: 113: 726–32.
  33. Cooley S, Weisdorf DJ, Guethlein LA et al. Donor selection for natural killer cell receptor genes leads to superior survival after unrelated transplantation for acute myelogenous leukemia. Blood 2010: 116: 2411–9.
  34. Venstrom JM, Pittari G, Gooley TA et al. HLA-C-dependent prevention of leukemia relapse by donor activating KIR2DS1. N Engl J Med 2012: 367: 805–16.
  35. Peruzzi M, Wagtmann N, Long EO. A p70 killer cell inhibitory receptor specific for several HLA-B allotypes discriminates among peptides bound to HLA-B*2705. J Exp Med 1996: 184: 1585–90.
  36. Rajagopalan S, Long EO. The direct binding of a p58 killer cell inhibitory receptor to human histocompatibility leukocyte antigen (HLA)-Cw4 exhibits peptide selectivity. J Exp Med 1997: 185: 1523–8.
  37. Boyington JC, Motyka SA, Schuck P, Brooks AG, Sun PD. Crystal structure of an NK cell immunoglobulin-like receptor in complex with its class I MHC ligand. Nature 2000: 405: 537–43.
  38. Fan QR, Long EO, Wiley DC. Crystal structure of the human natural killer cell inhibitory receptor KIR2DL1-HLA-Cw4 complex. Nat Immunol 2001: 2: 452–60.
  39. Baron F, Petersdorf EW, Gooley T et al. What is the role for donor natural killer cells after nonmyeloablative conditioning― Biol Blood Marrow Transplant 2009: 15: 580–8.
  40. Wu CJ, Yang XF, McLaughlin S et al. Detection of a potent humoral response associated with immune-induced remission of chronic myelogenous leukemia. J Clin Invest 2000: 106: 705–14.
  41. Bellucci R, Alyea EP, Chiaretti S et al. Graft-versus-tumor response in patients with multiple myeloma is associated with antibody response to BCMA, a plasma-cell membrane receptor. Blood 2005: 105: 3945–50.
  42. Bray RA, Hurley CK, Kamani NR et al. National marrow donor program HLA matching guidelines for unrelated adult donor hematopoietic cell transplants. Biol Blood Marrow Transplant 2008: 14: 45–53.
  43. Kawase T, Morishima Y, Matsuo K et al. High-risk HLA allele mismatch combinations responsible for severe acute graft-versus-host disease and implication for its molecular mechanism. Blood 2007: 110: 2235–41.
  44. Shaw BE, Gooley TA, Malkki M et al. The importance of HLA-DPB1 in unrelated donor hematopoietic cell transplantation. Blood 2007: 110: 4560–6.
  45. Fleischhauer K, Shaw BE, Gooley T et al. Effect of T-cell-epitope matching at HLA-DPB1 in recipients of unrelated-donor haemopoietic-cell transplantation: a retrospective study. Lancet Oncol 2012: 13: 366–74.
  46. Kawase T, Matsuo K, Kashiwase K et al. HLA mismatch combinations associated with decreased risk of relapse: implications for the molecular mechanism. Blood 2009: 113: 2851–8.
  47. Shaw BE, Mayor NP, Russell NH et al. Diverging effects of HLA-DPB1 matching status on outcome following unrelated donor transplantation depending on disease stage and the degree of matching for other HLA alleles. Leukemia 2010: 24: 58–65.
  48. Anasetti C, Logan BR, Lee SJ et al. Peripheral-blood stem cells versus bone marrow from unrelated donors. N Engl J Med 2012: 367: 1487–96.
  49. Deeg HJ, Spitzer TR, Cottler-Fox M, Cahill R, Pickle LW. Conditioning-related toxicity and acute graft-versus-host disease in patients given methotrexate/cyclosporine prophylaxis. Bone Marrow Transplant 1991: 7: 193–8.
  50. Clift RA, Buckner CD, Appelbaum FR et al. Allogeneic marrow transplantation in patients with chronic myeloid leukemia in the chronic phase: a randomized trial of two irradiation regimens. Blood 1991: 77: 1660–5.
  51. Mielcarek M, Martin PJ, Leisenring W et al. Graft-versus-host disease after nonmyeloablative versus conventional hematopoietic stem cell transplantation. Blood 2003: 102: 756–62.
  52. Rotta M, Storer BE, Storb R et al. Impact of recipient statin treatment on graft-versus-host disease after allogeneic hematopoietic cell transplantation. Biol Blood Marrow Transplant 2010: 16: 1463–6.
  53. Rotta M, Storer BE, Storb RF et al. Donor statin treatment protects against severe acute graft-versus-host disease after related allogeneic hematopoietic cell transplantation. Blood 2010: 115: 1288–95.
  54. Deeg HJ, Storer BE, Boeckh M et al. Reduced incidence of acute and chronic graft-versus-host disease with the addition of thymoglobulin to a targeted busulfan/cyclophosphamide regimen. Biol Blood Marrow Transplant 2006: 12: 573–84.
  55. Soiffer RJ, Lerademacher J, Ho V et al. Impact of immune modulation with anti-T-cell antibodies on the outcome of reduced-intensity allogeneic hematopoietic stem cell transplantation for hematologic malignancies. Blood 2011: 117: 6963–70.
  56. Bashey A, Medina B, Corringham S et al. CTLA4 blockade with ipilimumab to treat relapse of malignancy after allogeneic hematopoietic cell transplantation. Blood 2009: 113: 1581–8.
  57. Zhou J, Bashey A, Zhong R et al. CTLA-4 blockade following relapse of malignancy after allogeneic stem cell transplantation is associated with T cell activation but not with increased levels of T regulatory cells. Biol Blood Marrow Transplant 2011: 17: 682–92.
  58. Topalian SL, Hodi FS, Brahmer JR et al. Safety, activity, and immune correlates of anti-PD-1 antibody in cancer. N Engl J Med 2012: 366: 2443–54.
  59. Brahmer JR, Tykodi SS, Chow LQ et al. Safety and activity of anti-PD-L1 antibody in patients with advanced cancer. N Engl J Med 2012: 366: 2455–65.
  60. Maury S, Lemoine FM, Hicheri Y et al. CD4 + CD25+ regulatory T cell depletion improves the graft-versus-tumor effect of donor lymphocytes after allogeneic hematopoietic stem cell transplantation. Sci Transl Med 2010: 2: 41–52.
  61. Kwak LW, Taub DD, Duffey PL et al. Transfer of myeloma idiotype-specific immunity from an actively immunised marrow donor. Lancet 1995: 345: 1016–20.
  62. Cabrera R, Diaz-Espada F, Barrios Y et al. Infusion of lymphocytes obtained from a donor immunised with the paraprotein idiotype as a treatment in a relapsed myeloma. Bone Marrow Transplant 2000: 25: 1105–8.
  63. Neelapu SS, Munshi NC, Jagannath S et al. Tumor antigen immunization of sibling stem cell transplant donors in multiple myeloma. Bone Marrow Transplant 2005: 36: 315–23.
  64. Sergeeva A, Alatrash G, He H et al. An anti-PR1/HLA-A2 T-cell receptor-like antibody mediates complement-dependent cytotoxicity against acute myeloid leukemia progenitor cells. Blood 2011: 117: 4262–72.
  65. Rousseau RF, Biagi E, Dutour A et al. Immunotherapy of high-risk acute leukemia with a recipient (autologous) vaccine expressing transgenic human CD40L and IL-2 after chemotherapy and allogeneic stem cell transplantation. Blood 2006: 107: 1332–41.
  66. Ho VT, Vanneman M, Kim H et al. Biologic activity of irradiated, autologous, GM-CSF-secreting leukemia cell vaccines early after allogeneic stem cell transplantation. Proc Natl Acad Sci U S A 2009: 106: 15825–30.
  67. Riddell SR, Watanabe KS, Goodrich JM, Li CR, Agha ME, Greenberg PD. Restoration of viral immunity in immunodeficient humans by the adoptive transfer of T cell clones. Science 1992: 257: 238–41.
  68. Rooney CM, Smith CA, Ng CY et al. Use of gene-modified virus-specific T lymphocytes to control Epstein-Barr-virus-related lymphoproliferation. Lancet 1995: 345: 9–13.
  69. Leen AM, Myers GD, Sili U et al. Monoculture-derived T lymphocytes specific for multiple viruses expand and produce clinically relevant effects in immunocompromised individuals. Nat Med 2006: 12: 1160–6.
  70. Hanley PJ, Cruz CR, Savoldo B et al. Functionally active virus-specific T cells that target CMV, adenovirus, and EBV can be expanded from naive T-cell populations in cord blood and will target a range of viral epitopes. Blood 2009: 114: 1958–67.
  71. Heemskerk MH, Hoogeboom M, Hagedoorn R, Kester MG, Willemze R, Falkenburg JH. Reprogramming of virus-specific T cells into leukemia-reactive T cells using T cell receptor gene transfer. J Exp Med 2004: 199: 885–94.
  72. Cooper LJ, Al-Kadhimi Z, Serrano LM et al. Enhanced antilymphoma efficacy of CD19-redirected influenza MP1-specific CTLs by cotransfer of T cells modified to present influenza MP1. Blood 2005: 105: 1622–31.
  73. Micklethwaite KP, Savoldo B, Hanley PJ et al. Derivation of human T lymphocytes from cord blood and peripheral blood with antiviral and antileukemic specificity from a single culture as protection against infection and relapse after stem cell transplantation. Blood 2010: 115: 2695–703.
  74. Kochenderfer JN, Wilson WH, Janik JE et al. Eradication of B-lineage cells and regression of lymphoma in a patient treated with autologous T cells genetically engineered to recognize CD19. Blood 2010: 116: 4099–102.
  75. Savoldo B, Ramos CA, Liu E et al. CD28 costimulation improves expansion and persistence of chimeric antigen receptor-modified T cells in lymphoma patients. J Clin Invest 2011: 121: 1822–6.
  76. Porter DL, Levine BL, Kalos M, Bagg A, June CH. Chimeric antigen receptor-modified T cells in chronic lymphoid leukemia. N Engl J Med 2011: 365: 725–33.
  77. Brentjens RJ, Riviere I, Park JH et al. Safety and persistence of adoptively transferred autologous CD19-targeted T cells in patients with relapsed or chemotherapy refractory B-cell leukemias. Blood 2011: 118: 4817–28.
  78. Kochenderfer JN, Dudley ME, Feldman SA et al. B-cell depletion and remissions of malignancy along with cytokine-associated toxicity in a clinical trial of anti-CD19 chimeric-antigen-receptor-transduced T cells. Blood 2012: 119: 2709–20.
  79. Kochenderfer JN, Dudley ME, Maric I et al. Dramatic regression of chronic lymphocytic leukemia in the first patient treated with donor-derived genetically-engineered anti-CD19-chimeric-antigen-receptor-expressing T cells after allogeneic hematopoietic stem cell transplantation. Biol Blood Marrow Transplant 2011: 17: S158.
  80. Provasi E, Genovese P, Lombardo A et al. Editing T cell specificity towards leukemia by zinc finger nucleases and lentiviral gene transfer. Nat Med 2012: 18: 807–15.

Referencesへのリンク

PubMed
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed
blood
http://bloodjournal.hematologylibrary.org/

翻訳語句参照リンク先

独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター がん情報サービス
http://ganjoho.jp/
愛知県がんセンター研究所
http://www.pref.aichi.jp/cancer-center/ri/index.html
東京大学医学部附属病院 免疫細胞治療学(メディネット)講座
http://immunoth.umin.jp/index.html
日経メディカル オンライン
http://medical.nikkeibp.co.jp/
実験医学online
https://www.yodosha.co.jp/jikkenigaku/index.html
MEDI NET
http://www.medinet-inc.co.jp/
公益社団法人日本薬学会
http://www.pharm.or.jp/
このページの最初へもどる